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なぜ書くのか。それは、人に言葉があり、私に心があるから。
女帝の映画
2007-06-16 Sat 01:09
今日は「女帝~エンペラー」という映画を観に行った。大陸が作った標準語の映画だったので、台詞と字幕を見比べつつ観た。ちなみにこの映画、中国では「夜宴」というタイトルである。中国で女帝と言ったら、唐の即天武后を連想されるからだ。この映画はその女帝の話ではない。

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観ればすぐに分かるのだが、この映画はシェイクスピアの最高傑作とも言われる「ハムレット」の古代中国版である。それに気付いたのは、「父上の葬儀をすべきか、それとも母上の婚礼をすべきか」という台詞を聞いた時だった。これで思い出さなかったら、私はかつて取ったEnglish 433(シェイクスピアのクラス~歴史と悲劇バージョン)の先生に謝らないといけない。

映画の出来はなかなか良かった。やはり大画面で観るアクションシーンが大迫力だ。ある批評で「中国映画のワイヤーアクションは既に飽きられている」という意見を読んだが、私はむしろその露骨さはどんどんなくなり、洗練されていっていると思った。というか、中国の普通のテレビドラマにも多用されるワイヤーアクションのど派手さと「こんな場面にも!?」さに比べると、やっぱりこういう海外に出る映画での使い方は常識的で(笑)、とても美しい。

そして個人的に一番格好良かったのは、多勢に無勢で奮闘した皇太子の近衛兵の二人だった。(←ものすごく脇役。)その二人はすごく強いのだけれど、たった二人で何十人も相手にして既にあちこちを斬られて黒衣からは血が滴り、それでも一歩も引かずに戦う。面から覗く二人の目にためらいはない。しかし最後は相手の槍ぶすまに貫かれて、その身体ごと守っていた門を破られる。この二人の烈士ぶりが印象的すぎて、主人公の女帝や宮中の権力闘争は霞んでしまった。これって「木を見て森を見ず」って言うのかしら。

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