なぜ書くのか。それは、人に言葉があり、私に心があるから。
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「そして岩は祟り神になった」
2008-02-22 Fri 23:37
人から薦められていた京極夏彦の「嗤う伊右衛門」を読んだ。こんなに哀しい話があろうかという結末に、久し振りに本で泣いた。

岩とは、怪談話の女王“崩れた顔の怨霊”お岩さんだ。この本は京極夏彦によって再構築された四谷怪談である。(でも実は、途中まで私はお岩さんと皿を数えるお菊さんを混同していて、いつになったら井戸から出てきて皿を数えるのだろうかとアホなことを考えていた。)

実はこの本、途中でつらくて一度読むのをやめた。正しく慎ましく生きている人たちが、奸悪で卑劣な人間によって不幸になっていくという展開が予想されたからだ。それでも何とか読み続けると、その予想をはるかに上回る惨劇が起きるのだが。

岩は病で顔が二目と見られぬほど醜く崩れた。それに対しての周囲の同情と陰口。しかし本人は気高くて強い。「岩はそれまでも己の容姿の美しさを鼻にかけたことなどなかったし、今とても己の醜きを恥じてなどいない。ただいつも堂堂と、分相応に振舞っているつもりである。それなのに―」世間は彼女をわらうのだ。彼女が毅然とすればするほど裏で嘲笑した。

それでも岩は挫けない。「どうあれ岩は、自分は間違っていないと結論した。世間におもねり、世間の顔色を窺って要領よく生きられない自分は不器用だとも思うが、それでも間違っていることはあるまい。間違っていない以上、悪いのは世間の方である。」眩しいほどの強さだ。

伊右衛門はお岩の家に婿入りした浪人。無口で、無欲で、礼節正しい。「容貌など、何の障りにもならぬと存じます」と言った言葉の通り、岩の清廉なる性質を見抜き、彼女を愛する。

二人は好き合っているのに、不器用ゆえにすれ違う。そのすれ違いに他人の悪意や欲望が入り込んで、小さな亀裂はやがて開かれた地獄の蓋となってすべての人を飲み込む。

京極さんにしては極薄の374ページ(文庫)なので、お試しあれ。

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コメント
★ あどばいす
そんな悲しい話だったのね。今度読ませてw

ところでこの日記、カテゴリが未分類に入ってるけど、いいの?
君の日記は本とかのレビューも多いから、それ系のカテゴリ作ってはどうでしょう?

今度図書館で京極堂シリーズ、最初の方借りてみようっと。
2008-02-23 Sat 20:17 URL | バナナ兄弟 #-[ 内容変更]
ばななへ
分類は趣味に入れたよー。
だいたい本とか漫画とかの語りはここ。

主人公たちが罪もなく不幸になっていく話は読んでいてつらいよね。同じ理由でシェイクスピアのオセロも最初で読むのをやめちゃった。ダンサー・イン・ザ・ダークという映画もそう。あらすじを聞いただけで観れないなと思った。

京極堂シリーズは魍魎のはこ(字が出ない)がいいんだって。
「幸せになるのは簡単だ。人間を辞めればいいのさ」
読んだら教えてねー。

2008-02-24 Sun 01:00 URL | ゆにん #F0Z38fwo[ 内容変更]
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