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キングの小説
2008-09-26 Fri 08:54
私は中学校以来のスティーブン・キングのファンだ。アメリカに行こうと思ったのも、それがちょびっと関係していたのかも知れない。かつて語学学校のMike先生にそう言ったら、「アメリカ人が皆あんな化け物好きでクレイジーだなんて思わないでくれ!」と言われた。

しかも私は短編専門で、「キャリー」や「クージョ」や「ミザリー」といった彼の代表的な長編は読んでいないが、「Skeleton Crew」(訳書は「骸骨乗船員」ほか全3冊)、「Night Shift」(「深夜勤務」ほか全2冊)、「Everything's Eventual」(「第四解剖室」ほか全2冊)の短編集、それから「ショーシャンクの空に」や「スタンド・バイ・ミー」の原作を含んだ中編集「Different Seasons(恐怖の四季)」はコンプリートしている。しかも、どれも好きである。

そして最近またキングの短編集が出たのだ。(彼は自身の履歴を振り返り、意識しているわけじゃないが7年おきに短編集が出るようだと言っている。)「Nightmares & Dreamscapes」である。日本語訳では四分冊となり、そのうちの「ドランのキャデラック」と「いかしたバンドのいる街で」を読み終えたところだ。いやー、やっぱりスティーブン・キングは面白い。大人になっても飽きるということがない。そこでキングの面白さを(仕事中に)考えてみたのだが、以下の3点があげられる。

1、キングの持論
キング曰く、すべての人間は精神病である。本当に精神的に“まとも”で完璧な人間なんていない。人がホラー映画や小説を求めるのがその証拠で、喜びや感謝や信頼といったポジティブな感情以外を表に出す事が道徳的に良くないとされる社会で、行き場をなくした怒りや悲しみや恐怖といった感情を発散する場が(たとえフィクションでも)人間には必要なのだ。人は、ポジティブな感情もネガティブな感情も均等に発散しなければ気が狂ってしまう生き物だからである。

2、俗っぽさとディテールの描写
キングの表現方法は、とにかくディテールを描くことである。しかもそれはアメリカに実によくあるディテールなのだ。例えば主人公の男が自宅のバスルームの排水口から突然現れた動く指と戦っている間に、居間のテレビでは「ジェパーディ」というクイズ番組をやっていて、アレックス・トレベックという名前の司会が回答者のミルドレッドに「あなたのこれまでの獲得賞金は700ドルです。さあ、いくら賭けますか?」と聞いている。各行からそういったリアルな生活感に満ちた空気を感じ取ることができるのだ。

3、人生に失敗した人間のストーリー
キングの物語の主人公となるのは、何らかの形で(自分のせいにしろそうじゃないにしろ)人生に失敗して苦労している者たちである。社会の低層にいる者、過去に囚われ続ける者、頑迷な者、調子に乗りやすい者、他人を信じられない者、親や配偶者によって抑圧されている者など。能力があって自信があり、機会にも恵まれた「社会的成功者」は、上品な上流階級の仮面の下に隠れた醜い人間の本性を暴かれた挙句に真っ先にモンスターに襲われるのがオチである。キングは「人生に失敗した者」には優しく、モンスターと戦う知恵と勇気を授けてやるのだ。




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