なぜ書くのか。それは、人に言葉があり、私に心があるから。
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道楽
2010-04-22 Thu 07:11
「わしは探偵としての榎木津さんを――大変失礼な話だが、見くびっておったようだ。
所詮、名家の御曹司が道楽でなさっていることと――」
「大変失礼ですね」
道楽をなめていると榎木津は威張った。
「道楽とは道を楽しむと書くのです。世の中には道は渋い顔をしていないと歩けないと
思っている愚か者が多いが、それは大いなる間違いです」
道を楽しんで歩くことができない無能な者が言い訳がましくそういうことを云うのだと、
無頼探偵は明朗快活に言った。
何のことだか。
老人はいっそう渋い顔になった。

~京極夏彦 『陰摩羅鬼の瑕』 244ページ~


京極堂シリーズ7作目の『陰摩羅鬼の瑕』を読了。講談社ノベルズ版で上下二段書きの749ページである。内容の書評はともかく、上の榎木津の台詞が良かった。「世知辛ぇ世の中だぜ…」と苦い顔をしてつぶやくのが大人、みたいなふうに思われている節があるが、それは彼に言わせれば言い訳だそう。なるほど、道とは楽しむものなのだ。そして楽しむためには努力と覚悟が必要だ。ただ待っているだけで誰かが楽しませてくれるなんて思うのは不遜で、それでは不満しか出ない。榎木津大魔神の真似はとうてい無理だが…。

もうひとつ見所がある。


「伯爵――」
私はそう云いながら京極堂に向き合う。
「伯爵を――この人を救うことは出来ないのか。君は、京極堂、君は」
僕を救ってくれたじゃないか。
「人は人を救えないよ、関口君」
京極堂はそう云った。
「僕は神や仏ではなく、人だ」
「しかし、神も仏も」
「そうだ、嘘っ八だ。だから人は他人に騙されるか自分を騙すか、そうでなければ――」
自分の目で現実を見て自分の足でその場所に立つしかないんだと、私の友人はそう云った。
(737ページ)


シリーズ第一作目並みにこんな京極堂と関口君の友情を垣間見ることができる『陰摩羅鬼の瑕』、おすすめです。



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