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激情の滓
2010-11-21 Sun 08:58
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「チェ 28歳の革命」/「チェ 39歳 別れの手紙」(2008年)

スティーブン・ソダーバーグ監督による計4時間半を超えるチェ・ゲバラの半生を描いた伝記映画。「モーターサイクル・ダイアリーズ」に続く観賞。同じ人物の違う人生部分(あっちは若くて好奇心いっぱいの医学生時代、こっちはゲリラ闘争に明け暮れた革命家時代)を描いているせいか、タッチがものすごく違って戸惑った。

昔、本屋でゲバラ自筆の『ゲバラ日記』を手に取ったが、ぱらぱらと読んでみて、それが詳細な行軍日誌のような内容だというのを知って本棚に戻したことがあった。この「チェ」二部作はあらゆる意味でまさしくその映画化となっており、とことんリアルにゲバラの戦いの日々を体感できるが、映画としての物語性はないに等しい。カストロからの革命戦争への誘い、キューバへの密航、ジャングルでの野営地の建設、新兵の訓練、ゲリラ戦、他勢力との折衝、さらなる戦闘、そしてキューバ革命の成功。革命後にニューヨークでゲバラが辛辣なアメリカ批判を展開した国連演説のシーンが織り混ぜられるが、それ以外に彼の思想をくみ取ることはできない。あの熱血な医学生がどうやって革命戦争への参加に至ったかなど、ゲバラという(優秀なゲリラ司令官としてではなく)人間の軌跡が見たかったのに、これでは不満である。あと、画面に出て来る人物がみんな「野戦服・あごひげ・葉巻」なので、どれがゲバラでどれがカストロかを探すのが大変だった…。

話は飛んで、演出が一番秀逸だなと思ったのは最後のボリビアでの処刑の場面で、緊張して何度も銃を握り直す執行役の兵士に向かって、「撃て、やれ」とゲバラが言う。一発目の銃声が響くと、ゲバラの視点と一体化しているカメラの画面が地面に向かって倒れていき、二発目の銃声でもう一度画面が揺れ、三発目が響く頃には完全に横ざまに倒れている。押し殺した息遣いがかすかに聞こえ、ぼやけた視界には目の前に立つ人物の軍靴だけがうつっているが、やがて視界はさらにぼやけてホワイトアウトしていくのだ。

キューバ革命の時には、革命後のビジョンを持った政治家のカストロがいて、革命を受け入れてくれる国民がいたが、ボリビアではそんな政治者も十分な工作活動もないままゲリラ戦闘を始めたゲバラ。手段にすぎなかった武装闘争が目的になってしまっていることを指摘されても、彼は進軍をやめようとはしなかった。永遠に革命家であろうとしたゲバラは、そこに死に場所を求めたのではなかっただろうか。





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