なぜ書くのか。それは、人に言葉があり、私に心があるから。
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「白い人」
2011-06-15 Wed 00:53
遠藤周作の『白い人』という短編がある。新潮社のあらすじを引用すると「第2次世界大戦中のドイツ占領下のリヨンで、友人の神学生をナチの拷問にゆだねるサディスティックな青年に託して、西洋思想の原罪的宿命、善と悪の対立を追求した」作品で、芥川賞を受賞した。中学校と高校の友人で、休み時間は席で静かに遠藤周作の『海と毒薬』を読むような多感な文学少女がいて、彼女との交友は私の人格形成の半分を成しているのだが、その友人にすすめられて当時この『白い人』を読んだ。

そんなことを思い出したのは、朝の連続テレビ小説「おひさま」を見ていた時だ。話はちょうど戦時中で、主人公の若い女性教師は戦時下の国民小学校で教えていて、軍事教練や勤労奉仕でろくに授業もできず、子供たちに教えるべきことを教えられないまま卒業させなければならないことを悔しく思っている。そこへ彼女の気持ちをわかってやりつつ、時代に対してどうしようもできない校長先生が、「私だって40年間教師をやってきた教育者です。子供たちには生きる喜びを教えたい。でも、今はそれをしてはいけない時代なのです。どうかわかって下さい」と言い聞かせる。

遠藤周作の『白い人』ではこう書いている。(原本が手元にないので記憶頼り)

「この精神病院にいる患者たちをごらんよ。彼らは誰よりも立派だよ。なぜなら、彼らは完全に自分で責任を取りながら、自分の作り上げた世界に生きているからだ。その点、世間で我が物顔で生きている正常な人間たちとやらはどうだい。何もかもを時代や国家や政治のせいにして、平気で残虐なことをやってはその責任を取ろうともしないんだから。」

社会で生きるには不適格とされて、“正常な人間”によって精神病棟に閉じ込められた精神病者たちこそ、「時代のせいだからしょうがない」などという無責任な言い訳をしないで立派に生きている、というわけだ。史実では、20万人に及ぶ精神病者や障害者がユダヤ人と並行してナチスによって命を奪われている。その皮肉を思うにつけ、忘れられない一節となった。





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コメント
うわー、なんかコメントしたいんだけど全然纏まんない!
NormalとAbnormalの差なんて、結局曖昧なものなんだよなぁ…。
2011-06-15 Wed 21:59 URL | まちゃこ #-[ 内容変更]
まちゃこへ

長崎市にある遠藤周作の記念館には
こんな言葉を書いた石碑があるよ。

『人間がこんなに哀しいのに
主よ 海があまりに碧いのです』

人生、何も考えないで楽しいとこだけ
見ながら生きられたらとは思うけど、
そうもいかないもんだよね。

2011-06-16 Thu 00:52 URL | ゆにん #F0Z38fwo[ 内容変更]
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