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キングの新作
2012-05-04 Fri 23:56
世の中に楽しみは多いが、そのうちの一つがスティーブン・キングの新作を読むことである。アメリカへ行ったのだって、キング作品を通じて触れた繁栄と退廃の同居するあの国の空気を実際に自分の目で確かめたかったからだと言える。特に私は短編集が好きで、中高時代に読んだ『深夜勤務(Night Shift)』や『骸骨乗組員(Skeleton Crew)』への思い入れはとても深い。そのキングの最新の短編集が『Just After Sunset』だ。

キングの短編には荒唐無稽なものも多い。どちらかと言えば「真面目に怖いもの」よりも、「なんだそりゃ~!」という設定とオチを持つものが多いのが特徴で、しかしそのクセの強い味わいがやみつきになってしまう。『Just After Sunset』にも、とてつもなく変だけど私のツボにはまった作品があった。『Stationary Bike』という短編だ。

主人公の男は太り過ぎであることを医者から警告され、心機一転してダイエットに励む。大好きなクリスピー・クリームのドーナツを断ち、コカコーラをトマトジュースに変え、さらには地下室にエアロバイクを設置した。ただコンクリートの壁を眺めるよりはと風景画を壁に貼って、毎日エアロバイクに精を出すが、やがて絵の中の世界に呼び込まれるようになり、そこで殺気立った男たちに追いかけられる。ある日ついに追いつかれて、現場作業員の格好をして“脂質”と書かれた帽子を被った彼らに取り囲まれる。「お前がダイエットしているせいで我々の仕事がなくなった」「子供の教育費も家賃の支払いもできない」「仲間のカルロスは生活苦でショットガン自殺した。お前が殺したんだ」「いいか、我々の生計を奪うな!」と口々に叫ぶ“脂質会社”の作業員たち。そして、現実世界に戻った主人公はダイエットをやめるという話。

この話の深いところは、(自分の体内にいるらしい)脂質会社の作業員に取り囲まれて「こんなことあるはずない!」と混乱する主人公に、作業員の一人がこう言うくだりだ。「ならあんたはどうなんだ?それを考えたことはあるか?どこか他にここよりでかい世界があるとは思わないのか?あんた自身が、実はどっかの誰かのほんの一部でしかないと。」こんな別の層の世界が見えちゃうなんて、やっぱりキングは天才じゃないかと思う。





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